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zoom RSS 韓国画家・李重煕Lee Joong-hee個展「気韻生動と五方色」

<<   作成日時 : 2011/05/04 10:09   >>

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2011年5月2日、韓国全羅北道の益山(イクサン)市にて、ここで唯一の画廊「Wギャラリー」の招待による李重煕(イー・ジュンヒ)の個展(2011.5.2〜18)のオープニングが行われました。

画家が私の訪韓スケジュールに合わせて個展の日程を決めてくれたこともあり、駆けつけ取材してきました。

田舎の画廊とはいえ、天井が高く、コーヒーショップと高級西洋アンティーク家具の展示場を同じ建物に持ち、おそらく日本でもあまり見ない大規模なギャラリー空間といえます。

※李重煕「舞曼荼羅」
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※Wギャラリー
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李重煕(64歳)は益山市の出身で、この地に所在する円光大学美術大学の教授を長年務めていますが、地元で個展を行うのは初めてことです。

今回の個展にはキャンバスにアクリルガッシュで描いたタブロー100号の作品を中心に、水彩画、竹筆を使って墨で韓紙に描いたヌードクロッキー、鉛筆のヌードクロッキーなど多様な作品を出品していました。

今年2011年の作品は「舞曼荼羅」のシリーズで、韓国のシャーマン、ムダンという巫女の舞の軌跡を抽象的に表現したものです。
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●心配のない線描

このブログの
シュルレアリスムの記事などに幾度か出てきた言葉である「オートマチズム(自動記述)」による線描は、意識を超えたところの潜在意識から導き出された無為なる線描のことで、理性を超えた原初的なエネルギーを宿しています。

李重煕の作品を見ると、形のはっきり見て取れる具象作品、そして「舞曼荼羅」のように抽象的な表現の作品があります。

彼が何をどのように表現するかに関わらず、結果的に彼の作品にあらわれ出た線描にはオートマチズム的な要素が感じられます。

調和が築かれ完成された絵画は、当然意識の管理下にあって描かれたものに違いないのですが、その制作過程においては意識の束縛から解き放たれているのです。

圧倒的で沸きあがるような情動を筆にのせた線・・・それは潜在意識、というよりも魂の意識たる超意識に通じる線描と言ってもよいでしょう。

「私は(作品の)出来上がりを心配しない」という李重煕の言葉が示すように、彼の絵にはためらいの痕跡は一切無く、ある意味で自分の創作行為自体を絶対的な存在に委ねて安心しきっているようです。

こうした制作態度は朝鮮時代の工芸品や民画に共通するものがあります。朝鮮民画(1)「民画とは」

鑑賞者は、何ものにも囚われない無為なる線を宿した自由な造形を前にすると、「自らを縛り付けているつまらない心配」から無意識の内に解放されるものです。

●気韻生動する線描

また東洋の伝統的な芸術哲学に「気韻生動」があります。

「気韻生動」は6世紀の唐代の画家であり評論家であった謝赫(しゃかく)が著した「画の六法」の中に出てきます。画の六法の説明⇒神品・清明上河図巻参照

この「気韻生動」は、優れた絵画に漂う「気」すなわちエネルギーで、ミロやポロックなどの西洋の画家たちが東洋の書や水墨画を見てあこがれたであろう芸術の本質的なエネルギーです。

気韻生動は「天地(世界・宇宙)の気をとらえて作品上に生き生きと格調高く韻かせること」とでも言いましょうか、思考を超越した情的な快感のようなものです。

李重煕の絵は一見西洋の表現主義的な作品のように見えますが、実はこの「気韻生動」を求めた東洋的な線描の絵画なのです。

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●五方色

次に、李重煕の作品は色彩にも特徴があります。

東洋の陰陽思想からくる「五方色」です。

五方色を簡単に言えば紀元前から東洋に伝わる色彩哲学で、北は玄(黒)・東は青・南は朱(赤)・西は白・中間は黄というように原色を方位に当てはめ、さらに北は冬・東は春・南は夏・西は秋・中間は無季節と、色に「空間」と「時間」の概念をこめました。五方色「韓国徳寿宮・丹青(タンチョン)」

中国や韓国ではお寺や王宮はこの五方色を使って彩色し、日本では日光東照宮の彩色がそうで、宇宙のエネルギーを建物に宿そうとしたいわば風水的な意図があります。

韓国では朴生光(パク・セングァン)などこの五方色を意識的に使う現代の画家は多いのですが、李重煕は1980年代からそうした色彩哲学をもとに描いており、現代絵画においては五方色を使った草分け的な画家と言ってもいいでしょう。

彼の作品のほとんどが、五方色を基本として、それらの色を多層的に画面に覗かせて不思議な空間の奥行きをかもし出しています。

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●世界的活躍の予感

李重煕は、国内外での作家活動の実績はそれなりにあり、また彼の作品に対する専門家の芸術的な評価は極めて高いものがあります。

特に同じ芸術家である画家たちが彼の絵を欲しがり、その実力に比べて「地方に埋もれている」といった感があります。

近年は2008年の北京ビエンナーレへの招待など、大学教授の停年を目前にして海外からの注目を集めています。

この個展で作家は「私は116歳まで生きて活躍します」と宣言しました。

116歳の根拠は「120歳まで生きれるか」と神に問いかけたところ、「お前の車のナンバーを見ろ」と啓示を受けたそうです。

ならば、現在は人生の折り返し地点を越えたばかりで、今回の故郷での個展が李重煕の本格的な作家活動の出発点になるに違いないと思うのです。

レーピン大学とイェレメーエフ総長

韓国画家・李重煕「アブダビに美術の虹を架ける」

韓流ファインアート

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