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zoom RSS セガンティーニ「母子−絵を読み解く」

<<   作成日時 : 2011/07/31 12:38   >>

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今回はセガンティーニを題材に「絵を読み解く」ということについて。

これまで、絵画の見方(1)「主観的鑑賞」(2)「自分のこととして見る」(3)「美術館での鑑賞のしかた」(4)「心に映るものを見る」(5)「誰でも絵が好きになる鑑賞法」で「知」よりも「情」に感じることを優先して絵を見ることを書いてきました。

今回は作品や作家についての情報を得て、その絵に秘められたものを「考えて見る」という楽しみ方です。

NHK日曜美術館でイタリアの画家ジョヴァンニ・セガンティーニ(1858〜1899)の放映がありました。
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私が初めてセガンティーニに触れたのは、今から20年ほど前のことで、場所は大原美術館の常設展示でした。画面にあふれる澄んだ空気と明るい光にいたく感動した覚えがあります。しかし作家についてはあまりよく知りませんでした。

番組で「セガンティーニは母親を強く求めていた」といった言葉が出てきました。その言葉は、彼の絵、特に母子像を見るにあたって、考える視点を与えてくれたのです。

少しだけセガンティーニについて調べてみました。

「母親はセガンティーニが5歳のときに亡くなりました。不幸な少年時代で、13歳から16歳までミラノの感化院で過ごしています。しかし感化院長がよい人で、ジョヴァンニを暖かく迎え入れ、その才能を見抜いて、ミラノのブレラ美術学校へ入学させました・・・」

このことから、セガンティーニは無意識のうちに母親を求めていたことが伺えます。そして当時の西洋の画家たちはほとんどがクリスチャンで、キリスト教が直接的に又は暗示的に登場する作品が数多くあります。

少しセガンティーニの絵を見てみましょう。

■セガンティーニ「羊たちへの祝福」1884
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これはセガンティーニ初期の頃の作品で、民衆の生活に根付いたカトリックの神父を直接的に描いています。ミレーと似たような心情世界が見て取れます。

■セガンティーニ「アルプスの真昼」1891
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アルプスの澄んだ空気と光を、印象派とは別の独特の色彩分割法で描いた作品で、自分独自の画風を確立したようです。

■セガンティーニ「生の泉の愛」1896
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晩年の作品です。1994年ころから象徴的で寓意的な表現が多くなります。キリスト教を思想の土台にしているせいもあってか、羽根を広げた天使が登場します。

■セガンティーニ「うぬぼれ」1897
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これは人間の虚栄心を戒める意味で描いたものです。美しい裸体の女性が自らの姿を川面に映してうっとり。その川をまたぐ石橋の下に魔物が描かれています。

こうした寓意的な作品は、キリスト教の教義をもとにした戒めではあるのですが、こうした絵は下手をすれば「人を裁く」という宗教的欺瞞が見え隠れします。

しかし、セガンティーニが描く光に満ちて澄み切った画面は、とても清らかで、裁きよりも浄化につながる高い精神性を感じさせます。
チューリヒ美術館展ダイジェスト「濃密な美術史」
「芸術と宗教」スピリチュアルなアート

次にセガンティーニが描いた母子像です。

■セガンティーニ「湖を渡るアヴェ・マリア」1886
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■セガンティーニ「二つの母性」1889
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■セガンティーニ「アルプスの真昼」1891(母山羊の乳を飲む子山羊)
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■セガンティーニ「愛の結晶」1889
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■セガンティーニ「生の天使」1892
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■セガンティーニ「生の天使」1894
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さて、ここで同じ題材の母子が三点描かれています。これはあきらかにキリスト教(カトリック)絵画の定番ともいえるマリアとイエスの聖母子象から来ています。

晩年のセガンティーニは、絵の中に登場する事物に象徴的な意味を込めて描いていますが、ここで紹介した最後の3点はすべて「枯れ木(冬の木)」の上に母子が描かれています。

木の枝ぶりの美しさを描きたかっただけということは考えにくく、何かしらの意味を込めて描いたのでしょう。その意味は日曜美術館の中では「枯れ木に聖母子が生命を与える」という説明がなされていましたが掘り下げたものではないように思います。

もしかしたらセガンティーニの不遇な少年時代に「枯れ木」の秘密があるのかも知れません。あるいはカトリックの信仰や西洋哲学の中にその意味合いが隠されているのでしょうか。

興味のある方はそれを調べて読み解いて見てください。そして、よろしければ是非教えてください。

また、美術館に出かけてこの絵をじっと見て「自分の中から」発見してみるのもいいでしょう。(1892年の「生の天使」は現在滋賀県の佐川美術館で展示されており、その後静岡市美術館・東京は損保ジャパン東郷清j児美術館を巡回します。)

自分の中に見出したことは、知識や情報から得た真理よりも自分にとっての真実です。その解釈が作者の意図から離れたものであったとしても絵画の見方(2)「自分のこととして見る」ことの方が重要なのです。

さらには、この絵から徐世ト「おどりを踊る二人」で紹介したような自分なりの物語がひらめくなら、もっと深淵で広大な絵の楽しみ方が生まれることでしょう。

結局芸術体験とは、作家の意図にとどまらない、鑑賞者の内側に沸きあがる情的衝動なのですから。

ただ、セガンティーニの絵が私たちの心を揺さぶるのは、「(自然を前にして)内からわき上がる感動に従って描けば、完璧な作品となる」という彼の言葉が示すように、まず作家自身の自然に対する感動が最初にあり、その絵の前に立った我々は、作家の感動の色付けがなされた自然の中に取り込まれてしまうからです。

※母子の画家金守益(キム・スーイク)
※象徴主義の画家オディロン・ルドン

ヴェネツィア・聖母・ティツィアーノとルネッサンスの巨匠たち


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