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zoom RSS 天才画家ピカソ「無垢へのあこがれ」

<<   作成日時 : 2012/03/11 13:04   >>

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■ピカソ「ラス・メニーナス(ベラスケスがいない全図)」1957年作
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もうだいぶ前のことだが、韓国の田舎の村々を金敬烈という画家と一緒に車で旅したことがある。

当時金敬烈は「自然の肖像」というタイトルで「木」を題材にした絵を描いていた。この日も絵のモチーフとなり得る大木を取材するために、写真を撮ったりスケッチしたりの気ままな旅であった。

旅の途中である村に立ち寄ったとき、その村の中心にある大木の側で子供たちが遊んでいた。年頃は学校に上がってすぐくらいだろうか。私たちの姿を見つけると近づいてきて、こちらの顔を見ては何が可笑しいのか満面に笑顔をたたえてケタケタと笑った。屈託の無いその笑顔は本当に美しいと思った。今でも目をつぶればそのイメージが思い浮かぶ。ケタケタ、コロコロ、鈴を転がすように澄んだ笑い声は、俗な喩え方をするならば、まるで天使の歌声のようだった。

私はこの田舎の子供たちの笑顔と笑い声に無条件に癒された。

無垢なものに触れるとどうして癒しや安らぎを覚えるのだろうか?

歳を取り、もしかして子供のときに持っていた何か大切なものをどこかに置き忘れてしまったからなのだろうか?

あのときのことを思い起こすとそんな考えが浮かんでくる。



ピカソが子供の頃は、同年代の子供たちが描くような絵を描くことはなかった。絵画の先生である父親のもとで描いた絵は、無邪気な落書きのような絵ではなく、念入りで正確なデッサンだった。それはまったく大人の絵であった。

ある日ピカソは、パリで開催されている児童画展を訪れ、そこに展示された子供たちの絵を食い入るように見ていたという。後にピカソはこう回想している。

「ぼくはというと・・・うんと小さい頃に描いたデッサンの一枚も児童画の展覧会にかけられることはありませんでした。・・・幼年期にはじつにアカデミックなやりかたでデッサンをしていました。・・・今でもそのことを考えるとぞっとするほどです。」

ピカソは子供たちの不器用な絵の中に無垢を見出した。そして無垢の中に本当の自由を見た。

無垢なものこそ何ものにも束縛されない。その自由さはまるで神のごとくだ。
朝鮮民画(8)「花鳥図ー下手編(わくわくするパボ民画)」


ピカソは子供たちの絵によって自分の不自由さに気づいたのだ。ちょうど私たちが真に純粋なものに触れたときに自己の不純さに気づくように。

20世紀最大の巨匠であり天才と謳われたこの男は、幼少を飛び越えて怪物のように大きくなってしまった。もしかして彼は、子供たちがみな持っている大切なものをどこかに置き忘れたのではなく、最初から手にとって見ることができなかったのかも知れない。だからこそ、ピカソが子供たちの無垢性にあこがれる思いは常人では計り知れないものがあったに違いない。

ところが、世の中の本質を見極める鋭い目と最高の絵画技術を身につけてしまった大人が、無邪気で不器用な、そして純真で無垢な子供のような絵を描くことは、切ないほどにままならない。

貪欲なピカソはまるで欲しいものを手に入れようとする駄々っ子のように無垢を欲した。不自由な自分を解放するために。

ピカソの画業は、無垢へのあこがれを絵画という虚構の形にすることで、それを取り戻すための果てしない旅であったのだろう。
パブロ・ピカソ「キュビズム」と画業の変遷
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    ■ピカソ「ピアノ」1957年作
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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
なぜか今回の内容に涙が
ピカソの真実に生きた姿を垣間見させていただきありがとうございました。
もっと幼少時代、青年期を知りたくなりました。お母さんは父と息子が向かい合う時間、何をしていたのでしょうか?
天使の羽根
2012/03/11 18:05

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