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zoom RSS 井戸茶碗「戦国武将が憧れたうつわ」根津美術館

<<   作成日時 : 2013/12/05 18:00   >>

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女のやわ肌と美しい陶磁器を前にしたとき、「触れたい」と思うのは男の性だろうか。根津美術館で開催されている「井戸茶碗」展を見て、「手に取ってみたい」という衝動に駆られたのは私だけではなかろう。
根津美術館

私は茶の湯の作法を心得てはいない。ましてや茶道に通じる茶人ではない。しかし、名物といわれる茶碗たちに魅了された。そして素直に「触れてみたい」と思った。

朝鮮伝来の高麗茶碗の中でも粉青砂磁の井戸茶碗がかもしだす味わいは格別である。とりわけ「大井戸茶碗 銘喜左衛門」は唯一の国宝に指定されており、その佇まい、風格において、今回の大井戸茶碗39点の展示の中でも破格というべきものだった。

■井戸茶碗 銘/喜左衛門(国宝)朝鮮・朝鮮時代 16世紀 大徳寺孤篷庵蔵
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●井戸茶碗の魅力
茶碗の見方というものはある。だが「井戸茶碗の何がいいのか」と問われても私には特に「理由などない」。

ただ、素直で飾り気がない。しっとりとして深い。内面の奥深さがにじみ出ている。凛とした威厳のようなものとは無縁だけれどもプリミティブな力に満ちている。そして、無言で心に寄り添ってくれる温かいヒトのようでもある。

あきらかなことは井戸茶碗は茶の湯の「道具」である。道具は、使い込まれさらに経年変化することで味わいが増してくるものだ。特に井戸茶碗は経年変化がはげしい。

おそらく、手に取って、その肌に触れ、感じてみればもっとよく見えてくるに違いない。

かつて、日本の精神世界を支えた最高の文化人たちの手から手にわたっていったのが名物と呼ばれた茶碗。茶の湯の道具として愛でられたこの茶碗には、彼らの手と唇を通じてその深い心情世界が幾重にも刷りこまれているのではないかと思うのである。

生活雑器として造られた井戸茶碗は歪んでいる。誰よりも井戸に魅せられた近代の哲学者柳宗悦の言葉を借りれば「轆轤は心がゆるんでいる」「使う者は無造作に使った」「下手物である」・・・。

そんなものに美を見出し後世に伝えた当時の日本の茶人たちの美意識のなんという凄さだろうか。

●戦国武将が憧れたうつわ
武士とは、僧侶などと並んで当時の最高の文化人たちであった。武士は茶道だけではなく書や絵画などもたしなんだ。江戸時代の剣豪宮本武蔵の絵画作品を写真などでご覧になった方も多いはず。

■宮本武蔵の絵画
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凛として迷いのない描線。まさに武士、でなければ修道僧。

戦国時代、日本を統一した豊臣秀吉は朝鮮出兵を敢行した。1592年と1598年の慶長・文禄の役である。このとき朝鮮の陶工たちが日本に連行された。鹿児島の薩摩焼の沈壽官(シム・スガン)や佐賀の有田焼の李参平(イー・サンピョン)が名前を残している。
NHK日曜美術館「15代沈壽官」

今回の根津美術館の「井戸茶碗」は大井戸・小井戸・青井戸に分類しその展示は圧巻である。副題に「戦国武将が憧れたうつわ」とあり、戦国大名と井戸茶碗の関係をカタログで解説しているが、ここに一つ、別の視点で話をしてみたい。

それはもう10年以上も前のことだが、韓国の元老画家権玉淵(クォン・オギョン)と日本の詩人の松永伍一が出会う機会を設けてそこに立ち会った。今はもう二人とも故人となってしまった。そのとき、権玉淵はお土産として持ってきた朝鮮時代の白磁の茶碗を松永伍一にプレゼントした。

松永伍一は、それを手にとってしばらく眺めながら、ゆっくりとした口調でこんなことを言った。

「戦国時代の武将たちが朝鮮出兵した際に、犬に与える餌を入れたうつわを見て、その中に美を見出して争うように持ち帰った。武将たちは戦場という命のやり取りをする極限状態にあって、朝鮮の下層ではたらく陶工たちが、無心に、作為もなくこしらえ、しかも歪んでいるうつわの中に、何かとてつもなく癒されるものを感じたのでしょう。」

井戸茶碗は朝鮮出兵以前にすでに日本に伝来し、茶人や武将の間でその値段は「一国が買えるほど」という値がついていた。見方によればそれが出兵の一つの動機ともなる。

上記の松永伍一の言葉は、人間の心を癒すものの本質を物語っている。無垢なものは、殺し合いの最中にあってさえ人間としての良き心を取り戻させる力があるという視点なのだ。

それにしても、茶人や戦国の武将たちはなぜ朝鮮の井戸茶碗を最高と崇め固執したのだろうか。もしかして、武人たちが極めていくべき世界は、行き着くところ、修道者が目指す悟りや高度な芸術的宇宙につながっていくのかも知れない。

戦国の武将たちは、戦慄するほどの緊張と、その対極にあってうっとりとするようなリリシズムの両方を行き来した。

無名の陶工たちの手作業から生まれた歪んだ一個のうつわは、張りつめた心に「ゆるし」をもたらした。ゆるされた悦びがまた彼らの手を通してうつわに刷りこまれていく。

そう思うとやはり「触れて」みたい。

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「紫砂茶壺の効用」プーアル茶のおいしい淹れ方3
静嘉堂文庫美術館の紫砂茶壺(茶銚)名品


■井戸茶碗 越後(重要文化財) 朝鮮・朝鮮時代 16世紀 静嘉堂文庫美術館蔵
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■青井戸茶碗 銘/柴田(重要文化財) 朝鮮・朝鮮時代 16世紀 根津美術館蔵
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■小井戸茶碗 銘/忘水 朝鮮・朝鮮時代 16世紀 根津美術館蔵
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