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zoom RSS 富岡鉄斎「没後90年」(出光美術館)自在の画境

<<   作成日時 : 2014/07/28 00:07   >>

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「万巻の書を読み、万里の路を行く」は文人たちの生き様をあらわした言葉である。「最後の文人画家」と謳われた富岡鉄斎(1836〜1924)は、幕末、明治、大正にかけてそうした生き方を示した稀代の画家である。

「文人」とはもともと中国の士大夫を意味し、文人画は、儒教を学問として修めた人たちが、自らの人格を高めるために「余技」として描いた絵のことである。

「自分は文人であり、画人ではない」と語った鉄斎は、儒者としての誇りからか、公開の博覧会や共進会等には一切出品しなかったという。

■高賢図「顔眞卿」40歳代後半
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●三絶 詩書画一体

鉄斎が「私の画はまず賛文(漢詩)を読んでから見て欲しい」と言っているように、文人画は詩と書と画のそれぞれが高いレベルで絡み合い調和する芸術である。従って文人画は鑑賞する方にも教養を要求する。

私は漢詩の教養がなく、上記鉄斎の言葉からすれば鑑賞する資格に劣る。しかし、鉄斎の絵は、漢詩の意味などわからなくても十分に楽しめる。

ゆえにアメリカでも最も有名な水墨画家のひとりが鉄斎だ。

鉄斎は独学で絵を学んだが、若い頃から中国山水画の系譜はもとより明代清代に至るまで、様々な画法、筆法、画論を渉猟した。

自由闊達、豪放大胆、一方では繊細なマチエール、鮮烈な彩色と墨色の妙、遊び心と滑稽さ、まさに自在というべき独自の画境を開拓したのである。

特に80歳を過ぎてからの画業の評価が高く、それは気韻生動し「神韻」がただよう。
李重煕「気韻生動と五方色」

鉄斎作品のコレクションとしては、宝塚にある清荒神清澄寺にある鉄斎美術館が質量ともに最大と言えよう。今回は出光美術館で開催された鉄斎没後90年(2014年6月14日〜8月3日)から、同美術館所蔵の作品画像を紹介したい。

万巻の書に学び、万里を旅して築いた儒者の人格と教養、さらに大げさに言うならば仙人のごとくの霊格。それをもとに、世界を俯瞰して紡いだ鉄斎の画境は、理屈を超越して我々に迫るものがある。

賛文など後回しにしてまずはごらんあれ。

●文人の嗜みである喫茶「清風」

プーアル茶のおいしい淹れ方と紫砂壺
「無い味」と「余白」と「李禹煥」プーアル茶のおいしい淹れ方2
「紫砂壺の効用」プーアル茶のおいしい淹れ方3

■陽羨名壺図巻 35歳
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■高士煎茶図 81歳
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■陸羽煮茶図(部分) 60歳代
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鉄斎が描いている茶は日本の茶道でよく飲まれる抹茶ではなく、緑茶や青茶(烏龍茶等)や黒茶(プーアル茶)などの茶であり、それを淹れるための茶壺を描いている。茶だけでなくこの茶器を味わうことも文人たちの嗜みであった。

描かれている茶壺は中国の宜興でつくられた紫砂壺の定番の形で、鉄斎はそれに作家の名前を書き入れているが、おそらく茶壺に記された作家名等であろう。
プーアル茶のおいしい淹れ方と紫砂壺
「無い味」と「余白」と「李禹煥」プーアル茶のおいしい淹れ方2
「紫砂壺の効用」プーアル茶のおいしい淹れ方3

■口出蓬莱図 58歳
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蓬莱山は中国古代の想像上の山で、仙人の住む神山として古来よく絵に描かれてきた。一つの理想郷として鉄斎が好んで描いた題材である。

ただ、想像上の理想郷とは言っても、鉄斎は日本国内万里を旅することで、自らが体感した数々の名勝実景が作品の土台となっている。それゆえにか不思議な存在感がある。

■普賢落伽観世音菩薩図(部分) 80歳
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■白衣大士図(部分) 85歳
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●青緑山水と水墨山水

■天賜吉慶図 82歳
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■仏鑑禅師図 84歳
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■蓬莱仙境図 88歳
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さて、「自在の画境」とタイトルに付けたが、鉄斎の自在は、運筆の高度な技術により、墨の濃淡乾湿の諧調を一筆で一気に描き切ってよどみがない。水墨山水においては、岩肌や山の力強い存在感、柔らかい水や雲の流れ、澄んだ空気や光までも生き生きと描き出され、まさに神韻なる言葉を持って賞するに値する。

また鉄斎の絵はその透明感のある美しい墨色に定評がある。これは「墨癖」と自称するほど自身の意にかなった墨にこだわったことも大きいが、それは鉄斎の高潔に澄んだ精神のあらわれと見たい。

「余、墨筆紙癖あり。海の内外を択ばす、異製品に遇えば、必ず之を試験す。然るに文人墨客、値を論じて品を択ばす。これ嘆ずべし」富岡鉄斎「無用の用」(1916〜7)

鉄斎の絵は、絵画の修練と儒教や道教をはじめとする学問と旅の集大成と言ってもよいが、彼の絵に漂う神韻は、宋代の士大夫をはじめとする先人のそれに比べ、もっと土俗的で巫術的な霊気を孕んでいる。なればこそ我々の内に潜む原初的なエネルギーを誘い出して素朴なよろこびへと導いてくれるのである。


■石榴果図 86歳
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■萬歳書 81歳
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