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zoom RSS 「ボッティチェリ展」が語ってくるもの(東京都美術館)

<<   作成日時 : 2016/02/11 23:19   >>

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日伊国交樹立150周年を記念して開催されている「ボッティチェリ展」(2016年1月16日〜4月3日東京都美術館)。重要作品紹介とそれに付随する話、さらにこの天才ボッティチェリに対する驚きと惜しむ心をここに綴りたい。
東京都美術館ボッティチェリ展HP

■サンドロ・ボッティチェリ「聖母子(書物の聖母)」1482〜83年 テンペラ/板 58×39.6p
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精緻な描写によるこの小品絵画は、驚くほどの輝きを放っていた。聖母のガウンのブルーはラピスラズリ、そして金箔が随所に使われ、美術館のライティングによって浮かび上がった煌きに目を奪われる。ボッティチェリ37歳ころの作品である。

●キリスト教絵画の象徴性
構図の頂点に描かれたマリアの目にはキリスト受難に想いを馳せるかのように憂いを湛えている。同時に、イエス・キリストが受けた磔刑の3本の杭と棘の冠が幼子イエスの左手に金で描かれている。
キリスト磔刑図・私の十字架

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象徴的事物は「受難」に関するものだけではない。救世主の受胎と誕生を予言した旧約聖書の「イザヤ書」が開かれている。鉢の中のさくらんぼはキリストの血を暗示しているが、聖母の甘美さを示すプラム、キリストの救済と再生を象徴するイチジクとともに盛られている。

また当時の聖母子像の決まり事として、聖母マリアのガウンの色は信仰を象徴する青を基調とし、中の服は慈愛を象徴する赤である。

●ボッティチェリ工房
ボッティチェリは、フィリッポ・リッピの工房を経て、ベロッキオ工房の共同制作者を経て、1470年、25歳ころに自分の工房を構えるようになる。

工房ものは比較的大きな作品を共同で描くが、要所に親方の筆が入る。下の「聖母子」はボッティチェリ本人が手掛けたものという説もある。憂いを湛えた聖母マリアの表情はまさにボッティチェリのそれである。

この憂いは、ルネッサンスという時代から聖画の中に見られるようになった。聖人に人間的な内面の投影がなされるようになっていったのである。

■サンドロ・ボッティチェリと工房「聖母子(洗礼者ヨハネ、大天使ミカエル、大天使ガブリエル」1485年 テンペラ/板 直径115p
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■サンドロ・ボッティチェリ「美しきシモネッタの肖像」1480〜85年 テンペラ/板 63×44cm
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■サンドロ・ボッティチェリ「女性の肖像(美しきシモネッタ)」1485〜90年 テンペラ/板 61.3×40.5p
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●メディチ家の追放と修道士サヴォナローラが与えた影響
豪華王と称されたメディチ家の当主ロレンツォはボッティチェリを庇護し彼の活躍を後押しした。ところが1492年にロレンツォがこの世を去ったあと、メディチ家の支配体制は揺らぎ、1494年にフィレンツェから追放される。

当時、フィレンツェ市民に大きな影響を与えたのが、豪華な生活を悔い改めるよう説いた修道士ジロラモ・サヴォナローラである。彼は力をつけるにしたがってある意味で暴挙に出る。工芸品や美術品を贅沢品としてシニョリーア広場に集めて焼却する「虚栄の焼却」を行い、次第に市民生活は殺伐としていく。

結局彼は1498年に教皇の意による裁判の結果、絞首刑と火刑に処せられ殉教する。
 
■フラ・バルトロメオによるサヴォナローラの肖像(1498年頃)※「ボッティチェリ展」には来ていません
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ボッティチェリはこのサヴォナローラの教えの影響を強く受け、その甘美で柔らかな美が彼の作品から影を潜めてしまった。

また、ギリシャやローマの神話に登場する神々を描いたとされる「春」と古代の女神のポーズを引用した「ビーナスの誕生」はボッティチェリの代表作であるが、そうした異教的なものは全く描かず、サヴォナローラの教えに従った重苦しい画風に変貌してしまう。

■ボッティチェリ「春」1477年ころ 205×315p ウフィツィ美術館蔵(フィレンツェ) ※未出品
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■ボッティチェリ「ビーナスの誕生」1483年ころ 172.5×278.5p ウフィツィ美術館蔵 ※未出品
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サヴォナローラに傾倒した後の作品
■サンドロ・ボッティチェリ「聖母子と洗礼者ヨハネ」1500〜05年 油彩/カンバス 134×92p
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■サンドロ・ボッティチェリ「ホロフェルネスの頭部を持つユディト」1500〜10年 テンペラ/板 36.5×20cm
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※サヴォナローラの説教の中では、ユディトは悔悛に導く美徳と結びつけられ、彼女の持つ剣は悔悛の道を進まぬ者を打ち倒す神の剣とされた。
(厳格な教義による重たい画風の中にもボッティチェリの絵に潜む優美さは見て取れる。それゆえにこそサヴォナローラへからの影響は惜しまれる)

宗教家としてのサヴォナローラは宗教改革の先駆的役割を担ったとして評価も受けている。腐敗した当時のカトリック教会内部をただすという意味では現れるべくして現れた人物にも思われる。しかし、芸術が人々の心に与えるポジティブな影響を大きな視点からとらえることが出来ない人間だった。

彼の教えが、彼に傾倒したボッティチェリをはじめとする当時のフィレンツェの芸術家から奪ってしまったものは大きい。彼の教えは芸術の本質的な喜びから人々を引き離してしまったと思う。

ボッティチェリはサヴォナローラの試練を超えることが出来なかったと言えばそれは酷い言い方だろうか。晩年の評判は地に落ち、1510年に65歳で没する。

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