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zoom RSS ヴェネツィア・聖母・ティツィアーノとルネッサンスの巨匠たち

<<   作成日時 : 2016/08/11 00:48   >>

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日伊国交樹立150周年記念の展覧会が開催されている。「アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」である。その中から聖母マリアを中心に画像ダイジェストで贈りたい。おまけで載せている作品画像がまたよいのだ。

(東京/2016.7.13〜10.10国立新美術館、大阪/10.20〜2017.1.15国立国際美術館)
展示会URL http://www.tbs.co.jp/venice2016/

アカデミア美術館は、ヴェネツィア最大最重要の美術館として1300年代〜1700年代までの絵画を所蔵している。この企画展では、その中から、ルネサンスという時代を切り取って、さらに選ばれた作品が展示されている。

今回の目玉作品の一つがティツィアーノの大作「受胎告知」であるが、圧倒的に目につくのが、「受胎告知」や「聖母子」にみられる聖母マリアを描いた絵画である。その理由らしきものがカタログに記載されていた。

「ヴェネツィアは、西暦421年、処女マリアへの受胎告知の祝日である3月25日に建国されたという伝承がある。そこから、聖母の特別な加護に与ることを自負する町、聖母信仰のとりわけ盛んな町だった。」

また、ヴェネツィアが他国からの侵略によって蹂躙された経験を持たない「処女地」であったことも関係しているという。

町の雰囲気というものはそこに住む人々の集合的な意識に由来する。それが芸術作品をはじめとする文化的遺産に結実するのは当然のことである。今回の展覧会を見れば否が応でもヴェネツィアに住んだ人々の聖母マリアに対する意識の深さを感じざるを得ない。

ルネサンスという時代はカトリック批判の狼煙を上げてマルティン・ルターが宗教改革を起こした時代でもある。ヴェネツィアに限らず近代以前のヨーロッパ絵画の主題の多くはキリスト教に基づいているのだが。特にルネサンス以降に描かれた聖母やイエス・キリストなどの聖人は、前時代のイコンなどに比べて、表情に人間的な感情を滲ませている。そしてドラマチックな演出がみられるようになる。

さて、背景の説明はこれくらいにして絵を見てみよう。

実は、私はもう一つの目玉とも言えるベッリーニの聖母子が見たくて美術館に足を運んだ。この画家の実物作品ははじめてみるのだが、異様に人を惹きつけるものがあった。

■ジョヴァンニ・ベッリーニ「聖母子(赤い智天使の聖母)」(77×60p)油彩/板1485〜90年作
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智天使の姿を借りて空に赤を配するなんて。赤はキリスト教絵画において「慈愛」を象徴する色だが、そんな象徴的な意味よりも赤がもたらす装飾的効果による視覚的な喜びの方が大きい。

それは現代人的な見方なのであろうか。また、この「聖母子」の姿にエコール・ド・パリの異才レオナール・フジタを感じるのは私だけだろうか。

ジョヴァンニ・ベッリーニという画家の絵は詩情あふれる背景の風景に定評がある。参考までにロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵の「聖母子」を画像で紹介したい。

■ジョヴァンニ・ベッリーニ「聖母子(牧場の聖母)」(67×86)油彩/板1500-1505年頃(本企画展には来ていません)
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ついでに彼の代表作の肖像画をもう一つ。見事である。

■ジョヴァンニ・ベッリーニ「総督レオナルド・ロレダンの肖像」(61.5×45)油彩.板1501年ころ(本企画展には来ていません)
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いかん、本題からずれてしまった。戻して、「聖母」を中心とした今企画展の作品を閲覧しよう。

■アントニオ・デ.・サリバ「受胎告知の聖母」(47×34p)テンペラと油彩/板1480〜90年
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読書中に受胎告知を受けてビックリしている瞬間を描いているようだが、ちょっと固い。

■フランチェスコ・モローネ「聖母子」(72×54p)油彩/カンヴァス1500年頃
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ここでいよいよ次の時代の巨匠であるティツィアーノの作品登場。

■ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「聖母子(アルベルティーニの聖母)」(124×96)油彩/カンヴァス1560年頃
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■ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「受胎告知」(410×240)油彩/カンヴァス1563〜65年
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デカい。迫力の展示空間である。ティッツィアーノ晩年を代表する傑作だが、彼の絵筆に魅了された当時の批評家は「色彩の錬金術」と評した。

ティツィアーノのそれ以前の「受胎告知」においては、大天使ガブリエルの手には純潔を象徴する定番の百合の花が描かれている。本作品においては天使が胸で両手をクロスさせている。本来それはマリアがお告げを受けるときのポーズとして描かれてきた。これは大天使がマリアに宿ったイエスをすでに崇めているという意味合いで解釈されている。それにしても劇的である。

ギリシャ人画家エル・グレコがヴェネツィアに移住してきたときにティツィアーノの作品に触れて影響を受けたことは次の作品を見ればわかる。

■エル・グレコ「受胎告知」プラド美術館所蔵。(本企画展には来ていません)
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さらにヴェネツィアの三人の巨匠の中から二人の作品。

■ヤコボ・ティントレット「聖母被昇天」(240×136)油彩/カンヴァス1550年頃
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■ヤコボ・バッサーノ「悔悛する聖ヒエロニムスと天上に現れる聖母子」(221×161)1569年
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ここから聖母が描かれていない絵画を紹介したい。

■バドヴァニーノ「死せるキリストと3人の天使」
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さらに旧約聖書外典「スザンナ」の中に記された物語。内容は省略するので、絵とタイトルから想像されたし。教訓とともにエロティックな裸体表現の機会となり、好まれた題材のようだ。

■パルマ・イル・ジョーヴェネ「スザンナと長老たち」(96×79)油彩/カンヴァス1600〜05年頃
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次に神話を題材にしたなんとも官能的な作品。

■バドヴァニーノ「オルフェウスとエウリュディケ」(164×119)油彩/カンヴァス1620年頃
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■バドヴァニーノ「プロセルビナの略奪」(169×190)油彩/カンヴァス1620〜30年
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上の主題は豊穣の女神ケレスの娘のプロセルビナが、冥界の王プルートーによってさらわれる場面である。17世紀には人気のテーマでしばしば彫刻作品にもなった。そういえば絵画や彫刻で目になじんだ光景だ。


今回のヴェネツィア絵画の展示は、たとえばティツィアーノに見られるように、天からの神聖な光や天使や聖母などの聖人からにじみ出るように光が描かれている。そして登場人物の心の動きまでをも感じさせる表情など、まさにルネサンスの上質な絵画といえる。

聖母という神聖なテーマとは別に、官能的でどこか世俗的な人間の性を感じさせる絵も描かれてきた。美しいという意味ではどちらも美しい。


芸術表現は、それ自体が人間の本質をあらわにしようとする欲求を内に秘めていると思う。芸術としての絵画は、人を描くとき、形状の描写にはじまり、その人間の性質をさぐり、さらには究極の本質「人間の魂に備わった神性」に焦点を合わせようとする無意識の働きがあるのではないかと私は思っている。

人の中に神の性稟をみようとすることは「神が人間と分離されているのではない」という前提に立つことだ。

もちろん当時の画家たちの多くはキリスト教信者なので、人間は堕落していて、神は天上のものと考えているかもしれないが、人間を深く見つめて描こうとするとき、人間の内にある神性を無意識に感じ取っているに違いない。

でなければ官能美の中に神聖さをあらわすことなどできない。


また、「聖母子」はカトリック絵画の重要なテーマだが、「母子」は人類共通の普遍的な愛のテーマである。

子供を抱いた母親はみな聖母であり、無垢な子供はみな偉大なイエスに等しい。魂としての人間は、マリアであろうがスザンナを誘惑するユダヤの長老であろうが、金持ちであろうが乞食であろうが、聖職者であろうが娼婦であろうが、みな等しい価値がある。

さらに言うならば全ての人間は魂において神と同等の価値を持つ存在なのである。

「聖母子」でなくとも、真の芸術家は、すべての母親と子供たちの中に神のごとくの輝きを見出しているはずだ。

キリスト教絵画がいかなる教理にもとづいていようと、芸術作品であるかぎりはそんなものを超越して美しいのである。

「芸術と宗教」スピリチュアルなアート
カラヴァッジョとヴェントローネ「聖と俗」

国立西洋美術館「常設展15選」


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