韓国画家・徐世鈺(ソ・セオク)紹介エピソード

韓国の画家・徐世鈺(ソ・セオク)を久々に訪ねました。

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             ※徐世鈺「人々」韓紙に墨

●韓国現代アートの草分け的存在

現存する韓国人の現代アートを代表する画家といえば、日本で活動してきた李禹煥(イー・ウファン)、フランス在住の
金昌烈(キム・チャンギョル)などが有名ですが、水墨の東洋画から独自の現代アートを築いた徐世鈺がいます。

物故作家で韓国現代アートを牽引したキム・ファンギは晩年アメリカで活動し、ビデオアートのナムジュン・パイクも海外での活動が多く、韓国国内を基盤にして活動した作家では、徐世鈺や朴栖甫(パク・ソボ)などが現代アートの草分けと言ってもよいでしょう。

2011年現在満81歳。言わずと知れた大御所です。

この画家の家には1995年に最初に訪問して以来もう何十回と訪ねていますが、いつ見ても見事な庭造り、そして骨董と現代家具の調度品がマッチしていて、主人の精神世界が建物と庭に展開しているのを感じます。

いつかこのブログでも紹介していきたいと思っています。
徐世鈺「おどりを踊る二人」
韓流ファインアート

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     ※携帯カメラでピンぼけてしまいました(2011年2月16日撮影)

●世界的な活躍

徐世鈺はソウル大学美術大学の学長を歴任し、米国リスディ大学から名誉博士号を受け、ヒューストン美術館での個展の開催など世界的に活躍しています。

昨年秋には1ヶ月ほどドイツ・イギリス・イタリアの美術館・大学等での講演旅行をしました。

日本では2008年に開催された銀座のエルメスギャラリーでの個展も好評を博しました。

芸術に関しては歯に衣着せずに物を言うので、その実力と経歴は認められていながら、韓国芸術院会員になったのは2年前です(そもそも芸術院会員になるには芸術的な実力もさることながらそれ以上に人間関係が物を言うようです)。

徐世鈺の家の敷地内には、韓国風の「庭」と西洋現代建築の「母屋」と「アトリエ」そして接待用の「韓屋(ハノク)」という韓国伝統建築の建物があります。

ここには外国からのお客様が数多く訪ね、日本からは美術関係者をはじめ司馬遼太郎などの文化人も訪ねています。

10年位前にアメリカ・ヒューストン美術館の館長が、気に入ったアーティストを探すために日韓中の三国を歴訪した際、なかなか見つからず、あきらめて帰国しようとした最後に徐世鈺を紹介されました。

館長が通された広い応接室に徐世鈺自身の100号の作品が2枚かけられていましたが、その前で動けなくなりました。

作家と様々に話しこんだ後に納得し5年後の展覧会をオファーし、3年ほど前にヒューストン美術館での徐世鈺展が実現しました。

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               ※徐世鈺応接室

徐世鈺の芸術に関する話は、東洋哲学を基本としていて、まるで禅問答のようです。いくら専門家とはいえ、論理を先立たせる西洋人がはたして理解できるのだろうかと思い、画伯に訊いてみたところ、「彼らはよく勉強していますよ!」という答えが返ってきました。
徐世鈺インタビュー(1)
徐世鈺インタビュー(2)東洋思想による現代アート

ヒューストン美術館の個展を開催するに当たって、アメリカから何度もスタッフが訪ねてきたり、展示シミュレーションの模型などを送ってきたり、実に念入りに準備するやり方や美術館個展のオープンニングのスケールの大きさに徐世鈺自身も感動したのでした。

アメリカのトップクラスの美術館研究員は本当に優秀な人々が深く調査しているのでしょう。それはあの辛口の徐世鈺がべた褒めする姿を見ても感じます。

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    ※ヒューストン美術館展示シミュレーション


●優秀な息子たち

徐世鈺の長男は現在世界で最も忙しい美術家ソ・ドーホーです。現在もプロジェクトの為にソウルとニューヨーク・ロンドン・ベルリン近郊にスタジオを構え、全世界で100名以上のスタッフが稼動しているそうです。

銀座のエルメスギャラリーでの徐世鈺個展のプロデュースはドーホーが手がけ、その展示シミュレーション模型が今でも徐世鈺の家の応接室に置かれています。

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      ※銀座エルメスギャラリー徐世鈺個展展示シミュレーション

ソ・ドーホーはソウル大学からリスディ大学に進学し最後はエール大学で博士号の学位を取得しました。

エール大学では一つのエピソードがあります。

世界中の美術館から展覧会依頼で引っ張りだこのドーホーが、エール大学美術大学の学長に全会一致で推挙されました。

彼は「忙しい」と固辞するものの「どうしても」ということで、副学長を置くことを条件に結局4年間学長を引き受けました。東洋人としては初めてです。しかしおそらくたいした仕事はしようにも出来なかったに違いありません。

ただ、大学としては「ソ・ドーホーの名前が欲しかった」のでしょう。

次男のソ・ウルホは、これまたリスディ大学からハーバード大学で建築学の学位を取得し、最先端の建築家としてアメリカをベースに活躍しています。

こうした息子たちの自慢をするときも、けっして愛想を崩さず厳格な表情で語るところが徐世鈺らしいのですが、でも親バカであることに変わりはない気がするのです。

優秀な2人の息子のおかげでリスディ大学の名誉博士号をいただいたとも言えるでしょう。

ただしリスディ大学の総長が交代するたびに、わざわざアメリカからソウルの徐世鈺に必ず挨拶に訪れるそうで、それは息子たちの業績によるものだけではなく、この画家が世界的に高く認知されているこその話です。
徐世鈺インタビュー


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