NHK日曜美術館「中川一政」

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           ※中川一政「大器晩成」

「魚の目はこわい。水の中で真剣に生きているからこわいんだ。特に鯛はこわい。」

中川一政が向田邦子と交わした言葉としてNHK日曜美術館で紹介されていました。

ところが、この魚の目はこわくない、むしろかわいく見えます。

ここに中川一政という人の人間性を感じます。

●素人が画家になれる

中川一政は白樺派の武者小路実篤に傾倒した時期があります。

白樺派が当時日本に紹介したセザンヌやゴッホ、特にゴッホを知り、感銘を受け、「専門教育を受けていない者も画家になれる」という希望を抱いて独学で絵を描いてゆくようになりました。

中川の絵画は素直な実感の表現です。

そこにプリミティブ(原始的)ともいえるエネルギーが潜んでいます。

私が好む朝鮮民画に通じるエネルギーです。
朝鮮民画(1)「民画とは(柳宗悦と民画)」
「文人画と民画」(朴芳永評論3)

風景や花や魚などの事物から受ける感動を中川一政という人間性によって翻訳し、ほとばしるエネルギーをキャンヴァスに塗りこめて行く画風は生涯変わらなかったようです。

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●苦悩を超えて

「井戸を掻い掘りし続けて、やっと澄んだ水が出てきた。その間の20年間、四面楚歌の中にいた。」

これはゴッホのように夭折してしまった画家には味わうことの出来なかった20年です。

20年間の苦悩には芸術におけるあらゆる要素が含まれていたことでしょう。

その真意は中川一政本人以外に誰にもわかりません。

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番組では、80歳代の作品「駒ケ岳」の絵を前にして、「(この山の絵は)よろこんでいる」と語っています。

このよろこびは、

無邪気な子供のようにただの素直さから生まれるよろこびではありません。

自分の井戸をひたすら掘りつづけてやっと湧き出た澄んだ水がもたらすよろこびです。

その水は見る者の細胞をよみがえらせる清らかないのちの水なのです。

●好きだ

武者小路実篤が中川の絵を評してこう語っています。

「わかるから好きなのではない。わからないのも好きである」

「人物画も変なものがある。その変なのも好きなのである」
絵画の見方(1)「主観的鑑賞」

ここで大河ドラマ江での一言

「好きになるということに理由などありません」

中川一政が97年の生涯をかけて描いた素直な心を前に、私たちも素直に観てみれば、きっと好きにならずにいられないでしょう。


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