天才画家カラヴァッジョとヴェントローネ「聖と俗」

●カラヴァッジョ

イタリアの画家で初期バロックの巨匠カラヴァッジョ(1571~1610)は、暗黒の背景に劇的な光とともに聖書の物語を描き出しました。

聖書に登場するイエス・キリストやマリアなど、カトリックの聖人たちをまるで当時の人々の現実生活のごとく見せたのです。

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               ※カラバッジョ「ロレートの聖母」

カラヴァッジョの作品は、例えば幼いイエスを抱いたマリアをまるでその辺にいるおばさんのように描き、神聖で神秘的な、いわゆる「聖画」を願った注文主をがっかりさせ、よく返品をくらったりしたようです。


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              ※カラバッジョ「聖トマスの懐疑」

「聖トマスの懐疑」という絵も、イエスの弟子聖トマスが「主の傷痕に指を差し入れるまで復活を信じない」と、その復活を否定した八日後、彼の前にイエス・キリストが現れ、自らの傷痕に聖トマスの指を差し入れさせる場面を描いた作品です。

「あなたは本当にイエスなのか」

「ほら、そんなに疑うのならわき腹の槍の穴に指でも突っ込んでみろ」

そんなやり取りが聞こえてきそうです。

衣服をはだけているイエスの姿には聖人のイメージはなく、とても人間味のある人物に描いています。

敬虔なクリスチャンにとっては憤慨しかねない表現ですが、なんとも愉快です。

カラヴァッジョの作品画面は「聖」と「俗」が見事に同居し、生き生きと見るものの心に迫るのです。


●ヴェントローネ

現代のイタリアリアリズム絵画の巨匠ルチアーノ・ヴェントローネ(1942~)は、私たちの身近にある野菜や果物に文字通り光を当てました。

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              ※ヴェントローネ「石榴」

やや逆光ぎみに照らされて黒い背景の中に浮かぶ「石榴」は、澄んだ光を含み瑞々しい生命の力を湛えています。

静物画において特に重要な構図も絶妙で、無理の無い緊張感とともに、光に絡んだ石榴の配置によって、画面に動的なリズム感をかもし出しています。

「光あれ!」ヴェントローネの光は、背景の闇から生み落とされたようです。

世俗的で身近な存在に秘められた聖なる光、ヴェントローネは物質的な現実と交差する内的で神聖な光を見事に描き出しました。

彼の絵を見てから現実世界に目を移したときに問われることがあります。

それは、「世俗」にあって、その中にいかに「神聖さ」を見るのかということです。

わたしたちは山も木も花も、道端のホームレスも、お金も、食べることもトイレで用をたすことも、男女の交わりも、全てが神聖であるとみなせるでしょうか?
平野遼「本物の光」




カラヴァッジョとヴェントローネ、彼らの絵を眺めているといつしか「聖」も「俗」も同じものであることに気づくのです。


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