朝鮮民画(3)「文字図Ⅱ(忠信禮義廉恥)」

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文字絵(孝悌図)の第二回目は、先回の「孝・悌」に続き「忠・信・禮・義・廉・恥」を紹介します。
朝鮮民画(1)「民画とは」
朝鮮民画(2)「文字図Ⅰ(孝悌)」

孝悌図は朝鮮時代の儒教的な倫理観を反映した教育目的で発生したものと考えられますが、文字絵に使われている鳥や花や動物などの事物は中国の故事から取っています。

以下その一部を紹介します。尚、ここでは各文字あたり一つの事物を説明します。

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『忠』君主に対して臣下たる本分をつくすこと。
【関龍逢】夏の桀王は、国政をおろそかに酒色にふける毎日であった。家臣の関龍逢は見かねて忠告するが国王は逆に怒って彼を殺そうとする。関龍逢は自分の死を辞さず忠言した。ついに王は彼の国を憂える姿に動かされる。

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『信』欺かないこと。思い込み疑わないこと
【手紙をくわえ鳥】尾生と小已(しょうい)は互いに長い間離れ離れになり身を案じていた。ある春の日、蓮池のほとりに青い鳥が手紙をくわえて飛んできて、両者の間を飛び交い消息を伝えてくれた。たとえ遠くにいても信じあっていればいつか心が通じる。

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『禮(礼)』社会の秩序を保つための生活規範
【亀】禹が洪水を治めたとき、洛水から出現した亀の背に九つの文様があった。これをもとに様々な規範が作られ、これを孔子が大成した。

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『義』利害をすてて条理にしたがい、人道・公共のためにつくすこと
【桃】漢の王家の流れを組む劉備は、関羽、張飛とともに桃園で義兄弟の契りを結んだ。以後、互いの為に命を惜しまず戦った。

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『廉』いさぎよいこと。欲がないこと。
【鳳凰】鳳凰を空高く住み、気高い鳥で、たとえ飢えても栗だけはついばまなかった。鳳凰のごとく人もいかに貧しくとも心清く生きるべきである。

『恥』はじること
【百世清風夷斉の陽、首陽山】周の白夷と叔斉は国王の不正に抗し、周の録を食むのを恥じて首陽山にこもり、蕨だけを食べてついに餓死した。武王は後に己を恥じ、二人の義を深く悟った。

このほか、儒教とはあまり関係はないのですが登竜門や海老・貝相和の逸話(忠の字)なども盛り込まれ、絵画の構成としては山水図、花鳥図、静物などの混成図が描かれていることもあります。

初期のものは文字の形態を忠実に活かし、その中に故事の絵や文を描いていましたが、時代が下がるにつれて意味性よりも絵画的な装飾性が強くなりました。

しかし文字図が本来目的とするところは、儒教の教えをいかに絵画化するかということに変わりはありません。

「百聞は一見に如かず」という諺が示すように、見ることの刺激は聞くことを凌駕するものがあります。

情操教育においても耳から入れること以上にビジュアルに訴えたほうが強い情的な刺激を与えられることは間違いなく、そう考えると、朝鮮時代の国家の精神的根幹たる儒教の教えを観念ではなく人々の情の深いところに根付かせるために、この民画の文字図は大いに役立ったのではないでしょうか。

絵画の価値(5)「情操教育」病める子供たちへ

朝鮮民画(1)「民画とは」
朝鮮民画(2)「文字図Ⅰ(孝悌)」
朝鮮民画(4)「虎図」
朝鮮民画(5)「文房図(チェッコリ図)」
朝鮮民画(6)「花鳥図ー牡丹図」
朝鮮民画(7)「花鳥図ー宮廷画家も描いた上手編」
朝鮮民画(8)「花鳥図ー下手編(わくわくするパボ民画)」
朝鮮民画(9)「山水図―金剛山図」民画の本質
朝鮮民画(10)「花鳥図ー蓮華図」


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この記事へのコメント

天使の羽根
2011年11月06日 15:50
脳トレの中に、視覚や絵画が有効とされていますが、今回の解説とともに絵画で、子供たちにみせてあげたくなりました。

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