絵画の価値(5)「情操教育」病める子供たちのために

今回は絵画の価値(4)「精神性」その2・潜在意識の浄化に関連して、情操教育の中でも心に受けたネガティブなものに対する浄化作用を取り上げてみようと思います。

●ネガティブな目からの刺激
ニューミレニアムから10余年。世界に頻発する様々な事件を目にするときに、未だこの時代の人類は試練の中でもがいていることを感じざるを得ません。

今世紀冒頭におきた9・11同時多発テロでツインタワービルが崩れるシーンはTVの画面に何度も映し出され、それを見たニューヨークの幼い子供たちは夜泣きするようになったと聞きます。

一時期日本ではすぐ切れてしまう子供たちが殺人事件を起こす事件が頻発し、その原因の一つとしてテレビゲームが取り上げられました。実際は子供が切れることとゲームとの関連性に科学的な論拠は薄いようですが、ゲームに没頭すればするほど仮想現実と現実世界との区別が曖昧になってしまう可能性は考えられます。

また、大阪の池田小学校無差別殺傷事件で、目の前で次々に友達が刃物で刺されてゆく姿を直接見た子供たちの中には、大きくなっても心のケアが必要な子らがいるといいます。

これらはネガティブな目からの刺激の例ですが、それほど目から入る刺激は心の奥深くまで影を落とします。特に幼い子供たちにおいては大人よりも強く心に影響するのです。

●病める子供たち(いじめの原因)
日本で起こっている「いじめによる自殺」や小中学生の登校拒否は子供たちの傷ついた心のシグナルです。

10数年前、香川大学の教授がある新聞に連載していた「思い残し症候群」という文章を読んだ記憶があります。

それによれば子供たちは心に受けたストレスを埋める為に弱い子へのいじめに走り、いじめられた子供はさらにもっと弱い子に向かうのだといいます。いじめはシンドロームとなって学校に蔓延するのですが、いじめを防止しようと子供たちにいくら訴えてもそれは無くなりません。

なぜなら最初に学校でいじめに走る子供が受けるストレスの原因は家庭にあるからです。

本来子供は父母の愛を受けることで情の安定がなされるのですが、父母から愛を受けられずにいること自体が子供にとってはストレスとなります。親にそのストレスをぶつけるとさらに愛が流れてこないので、はけ口を学校の友達関係に向けるという構造です。

つまり、学校でのいじめの最初の原因はというと、実は家庭で愛を受けられないことのストレスから来るのです。

●自然の美が育むもの
ここで自然が人々の情に与えるエネルギーに目をむけて見ましょう。

私が生まれ育ったところは東北の地方都市で、子供の頃は大自然と戯れる機会が随所にありました。

小学生の頃、家の前の道路はまだ舗装されておらず、土の上でよく近所の友達とゴムボールで野球をしたりビー球で遊んだりしました。岸壁に行けば飽きることなく海を眺め、山側に少し歩けば田んぼもあり、夏の終わりに空一面を覆いつくして通り過ぎる赤とんぼの大群を「すげー」と言って見た記憶は今でも脳裏に焼きついています。

その田舎も現在はかなり様変わりしています。

現代の子供たちは、コンクリートとアスファルトの都市生活で土や生物に触れる機会を失い、広い空を失い、我を忘れて夕日を追いかけることも無くなってしまいました。

自然の神秘的な美しさから人間はこの上もない喜びと癒しを受けることが出来ます。感受性が強い子供たちにおいてはなおさらです。自然の美しさに触れることで何か大きなエネルギーに満たされ心が洗われます。

一方、テレビゲームの無機質でバーチャルな世界は生命エネルギーの実感とは程遠いと言わざるを得ません。

●絵画に内在するエネルギー
絵画という芸術作品はたとえ抽象画であったとしても、自然界、森羅万象に既に存在する色や形などの調和から学んだものです。

芸術家は凡人には発見し得ない「美」を自然界の中に見出し、感動を受け、その「美」を作家自身の主体的な「愛」の動機に置き換えて作品にあらわします。

イギリスの詩人で美術批評家のハーバート・リードは「芸術家は人をよろこばせたいという衝動を持っている」といった内容を語っています。

たとえば絵画という形で表出された「美」の原因と本質は、一言で言えばそれを描いた作家の「愛」の衝動です。その背後にあって自然万物を創り出し存在させている大いなるエネルギーが息づいています。「美」と「愛」はどちらも同質のポジティブで情的なエネルギーなのです。

「芸術家は本来神の媒介者であるべきだ」

これは画家の横尾忠則が著書『名画感応術』の中で吐露している言葉ですが、それは世界に充満する愛のエネルギーと芸術作品との関係そして芸術家の役割を端的に示した言葉だと思います。

もう一度言うならば、一枚の絵画には、自然界に充満する愛のエネルギーが作家を通して濃縮あるいは拡大されて内在しているのです。

●子供の情操によい影響を与える絵画
一説によると情操が成長するのは3歳から思春期までだといいます。この期間がとても重要で、真っ白な紙に墨が染み込むように影響を受けます。

この時期に、ネガティブなエネルギーを受けるのか、ポジティブなそれを受けるのかは、その後に形成される感性や人格を大きく左右します。

芸術の中でも絵画は視覚芸術です。

子供が目という体の機能を通して芸術の美に触れることで、その原因である愛を感じるとしたらどうでしょう。絵画に内在する愛というポジティブなエネルギーが子供たちの心に作用することにより間違いなく明るく前向きになります。

不登校の子供がいる家庭で絵を飾った次の日に自発的に学校に行ったという事実がありました。細かな検証はしていませんが様々な要因の一つに絵画の影響があったはずです。

人生経験の乏しい子供が芸術の美に触れることでよろこびを感じるのは、実は最も近い愛の主体である父母から受けた愛の記憶が増幅するからです。

言い換えれば、父母や自然から本来もっと受けるべき愛や生命の力が、絵画という芸術作品によってより高い次元で補われるのです。それが子供の情に安定をもたらします。

現代社会において、知らず知らずのうちに蔓延するネガティブなエネルギーの連鎖によって子供たちの精神が傷ついています。その傷を癒し希望を与え前向きに導いてあげようとする姿勢は必要でしょう。

そうしたときに、家庭の中に飾られてある「親が気に入った」一枚の絵画が、少なからず力を発揮します。絵画は無言のままに子供の情に寄り添い親子の情をつないでくれるのです。

特に都市生活を営む人々にとって、芸術作品としての絵画は、大人たちの魂をも浄化し、子供たちの豊かな情操を育むための必需品と言っても過言ではありません.

絵画の価値(1)「インテリア性」
絵画の価値(2)「財産性・投機性」
絵画の価値(3)「精神性」その1・生き様を映す絵
絵画の価値(4)「精神性」その2・潜在意識の浄化

絵画の価値(6)精神性その3・磯部晶子「本性に語りかける花の絵」
絵画の価値(7)朴芳永「精神治療か魔除けか」
絵画の価値(8)「愛の思い出を買う」

ヴィジョナリーアート「幻想の空間」ベニー・アンダーソン

     ■金善斗作品
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       ■岡野岬石作品
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