東洋陶磁美術館「蓮HASU展」―蓮があらわすもの

大阪市立東洋陶磁美術館で「特別企画展: 蓮-清らかな東アジアのやきもの×写真家・六田知弘の眼」≪平成26年4月12日(土)~7月27日(日)≫が開催されました。

 ■「青花辰砂蓮花文壺」(朝鮮時代18世紀後半)
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「蓮」をテーマに、中国・韓国の陶磁器を中心にアジアの陶磁器を展示し、同時に写真家六田知弘の蓮の写真作品を展示し解説を加えたもので、とても見ごたえのある展覧会でした。

今回は、東洋陶磁美術館での蓮華文様の陶磁器に対する解説文から引用させていただき、「蓮」の意味合いを紹介します。
朝鮮民画(10)「花鳥図ー蓮華図」

●蓮文様の発生

【古代エジプトとインド】
最も早い蓮の文様は古代エジプトとされています。それは厳密には「蓮」ではなく「睡蓮」ですが。

また古代インドではインダス文明がすでに蓮を重んじていました。そのことが、後の仏教が蓮の意匠を取り入れた要因の一つになったと思われます。

  ■エジプト ヘアバンドに蓮の文様
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【中国】
古代中国の墓室の天井などにしばしば真上から見た蓮の花の文様が描かれ、それらは天上で光り輝くもの、天極星を意味したという説があります。一方で蓮は男女の関係および結婚をも象徴しており、後の吉祥画に受け継がれたと見ることができます。

 ■打虎亭漢墓 後漢末期(2世紀末~3世紀初)の天井画
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●仏教と蓮

紀元前5世紀ころインドに生まれた釈迦がひらいた仏教は、その象徴として、また祈りの場を飾る装飾として蓮を用いました。

「泥の中にも清らかな花を咲かせる」「葉は泥水をはじき汚れに染まらない」という蓮の特性は、「世上の汚れや乱れに左右されず清くまっすぐに生きていく」という,、まさに宗教的な教えを象徴する花と言えます。

中国に伝わった仏教が南北朝時代(5~6世紀)に栄えると蓮の文様が浸透していきました。陶磁器においては簡単な「蓮弁文」から「蓮唐草文」「蓮華童子文」などに展開し、朝鮮半島にも伝わります。

●吉祥図としての蓮(蓮とともに描かれる事物)

【商売繁盛・子孫繁栄】
蓮池
蓮は池に群生しますが繁殖力の強い植物です。群生する蓮は「本固枝栄」(根が丈夫で枝が繁る)として、商売繁盛や子孫繁栄につながり、また、蓮の花と実を組み合わせた絵は、「漣生貴子」(連続して貴い子が生まれること)の意味を込めて描いています。

【豊かさと余裕の人生】
蓮と魚
蓮とともに魚がよく描かれます。中国の古い詩では、魚は豊かさを、また蓮に戯れる魚は男女の戯れを表しています。さらに「魚」という文字の中国語の発音が「余」に通じるため、「連」に通じる「蓮」と一緒に描かれることで、「毎年余裕がある」という意味になります。

 ■「青花蓮池魚藻文壺」(中国元時代14世紀 景徳鎮窯)
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【夫婦和合・科挙合格】
蓮と鳥
「蓮池水禽文」という蓮池に遊ぶ鳥たちを組み合わせて絵付けしたものがあります。鴨やつがいで仲良くおよぐ鴛鴦(おしどり)が描かれ、この鴛鴦という鳥は日本でも鴛鴦夫婦というほど夫婦和合の象徴としてよく知られています。

 ■「青花蓮池鴛鴦文鉢」の絵付け部分(中国元時代14世紀)
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のちには鷺が絵付けに登場しますが、「鷺」は音が「路」に通ずることから、一匹の鷺は「一路」、つまり連続して科挙に合格する意味となりました。当時の支配階級の人々が家系の繁栄を願ったところから生まれたものでしょう。

※中国や韓国には官僚に登用されるための「科挙」という国家試験の制度がありました。中国では598年~1905年、隋から清まで施行されています。

●儒教と蓮 高潔な人格「君子の花」

北宋の儒学者 周敦頤(しゅうとんい1017~1073)が「愛蓮説」のなかで「中空でまっすぐ伸び、蔓も枝もつけず、遠くまで香りを漂わせてさらに清らかさを増し、高く凛と立つ」と謳ったように、蓮はまさに「花中の君子」の趣があります。

端正で上品な美しさを持つ蓮は、最高級(一品)の品位を備えています。泥に染まらないところから、高潔さや公明正大という美徳を象徴する花です。そこから、特に官職にある者の清廉潔白さ、品位の高さをあらわします。

蓮の音は廉とおなじです。中国では蓮花を一輪のみ描く「一品清廉」という画題があります。それが朝鮮にも伝わりました。儒教が栄えた朝鮮時代に造られた「青華辰砂蓮華文壺」は、儒教の理想を体現した君子の雰囲気を濃厚にたたえています。
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 ■「鉄砂虎鷺文壺」(朝鮮時代17世紀)
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鷺も蓮同様に泥にあっても泥に染まらない、高潔な人格を表します。この絵の反対側に虎が描かれています。絵付けの闊達な線描を見ると、陶工が描いたのではなくプロの絵師の手になるもののように思われます。


中国・韓国・日本の東洋三国が世界に誇るべき文化である水墨画をはじめとする絵画や陶磁器に、蓮は数多く描かれてきました。

東洋の人々が蓮を好むのは、東洋に起こった宗教である仏教や儒教につながる「高潔な人格」という蓮の内的な意味性が一つの要因としてあります。

そして、幸せを願う素朴な祈りが形となった「蓮」の絵は、昔も今も私たちの心を慰めよろこばせてやまない幸せの絵なのです。

朝鮮民画(10)「花鳥図ー蓮華図」
高句麗古墳群の壁画「四神図」「蓮花図」

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井戸茶碗「戦国武将が憧れたうつわ」根津美術館
プーアル茶のおいしい淹れ方と紫砂壺



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