絵画はコロナウィルスに効くだろうか

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●辟邪絵(へきじゃえ)

辟邪絵とは簡単に言えば魔除けのための絵です。


日本の辟邪絵として有名なものは、12世紀頃の作で奈良国立博物館に所蔵されている地獄草紙があります。国宝です。

■辟邪絵「天刑星」
辟邪絵のうち天刑星.jpg

辟邪絵は、中国などで古くから信仰されたものですが、疫鬼をこらしめて退散させる善神を描いた絵のことです。


画像を見ていただくとわかりますが、善神はおそろしい姿で描かれていて、疫病をもたらす存在としての悪鬼たちを食べています。ちょっとおどろおどろしいですね。


昔は、ウィルスなどがもたらす「疫病」の正体が何かよくわかりませんでした。存在が目に見えない敵にはよりいっそう恐怖心を感じるものです。


そこで、そんな正体の見えない疫病の原因を鬼の姿に描いて視覚化させることと、それを退治する善神の存在を描いて見せることで、心の安寧を得ようとしたのです。善神は魔と戦う存在ですから、強く、しかも恐く描かれています。屋根の鬼瓦なども同じ動機で作られ飾られました。


ヨーロッパでは骸骨や死神のような姿で災いのもととなるものを視覚化させました。しかし悪霊に対抗するもの、つまり辟邪(魔除け)としては主にキリストの十字架がシンボルとして使われたと思います。

日本では、仏像が西洋の十字架のように頼られました。それは、疫病に対する恐怖を鎮めるという心のケアの役割を果たしたわけです。


現代において、新型コロナウィルスは、電子顕微鏡で拡大した写真が毎日のようにテレビで放映されています。しかしまだその正体が解明されておらず、多くの人間が死んでいきますので、やはり人々は恐怖を覚えます。


コロナウィルスの蔓延を機に、漫画化されて描かれた「アマビエ」の絵を見たことのある人は多いでしょう。「アマビエ」は江戸時代に描かれた疫病を静めるという妖怪ですが、現代日本においても人々は辟邪絵としてこれを描き、グッズやお菓子にまでなっています。
アマビエ.jpg
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●韓国の辟邪絵

日本では地獄絵や幽霊図など猟奇的な絵が描かれてきました。お隣の韓国では、地獄や幽霊を描いた絵画はあまり残されていません。


韓国は、朝鮮時代に辟邪招福を目的にして「民画」というものが描かれました。朝鮮民画は、宮廷画家から素人の放浪絵師にいたるまで、彼らによって実に夥しい数が描かれました。それだけ多くの需要があったのでしょう。


民画の中の辟邪絵の題材としては「虎」「龍」「鳳凰」などがあります。


中でも「虎」は実際に朝鮮半島に生息していました。人々は虎を恐れながらもその存在に愛着をいだいていましたので、民画の虎を見てもどことなく親近感を感じさせます。



民画の虎は恐ろしくはなく、どこか滑稽です。また、虎は子供を大事に育てることから、母虎と子供の虎が一緒に描かれたりもしました。滑稽な表情や姿で愛らしく感じられるものがほとんどです。それでも辟邪絵です。

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韓国の現代作家である朴芳永の「虎」の絵はこの民画の伝統からきています。


■朴芳永「天力(虎)」12.2×13.7 色紙にアクリル・墨
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民画は、その根底に「祈り」がありました。描くこともそうですが、それを買って飾ること自体が、「人生にふりかかる災いを退けて幸せでありたい」という祈りそのものなのです。


このように、絵に備わった力を信じて見る者には、心に力が与えられ、不安が払拭されるなどして、最終的には「平安な心」がもたらされるのでしょう。


平安な心は感染を避けるうえでも重要なことです。


さらに、意識が刺激されることから「脳内ホルモンの分泌」が促されます。それが「免疫力の向上」にも繋がると考えられます。


ちなみに、カナダのフランコフォニー医師会は2016年から正式に絵画を病気の治療に使っています。



●免疫を助ける絵画

先日、韓国の幾人かの画家に「コロナウィルスに効く絵画を研究している」とメールしたところ、金圭泰(キム・キューテェ)という画家からはこんなメッセージが返ってきました。


「効果がある絵は、色彩が(体の中に)酸素を増やす色。そして血液の循環にも助けとなる陽的な色彩もよい。たとえば緑、青、赤。」


彼は東洋の伝統的な思想である陰陽五行説からくる五臓六腑と色彩の関係を勉強しており、「緑と青は体の中の酸素を増やしてくれる」とよく言っていました。


色彩は人間の精神に影響をもたらしますが、色を見ることによって啓発された意識が、体の機能にスイッチをいれることになるのでしょう。また、色は、人間の精神だけでなく、体にもダイレクトに刺激を与えることが実証され、光線治療などで使われています。


緑色は肺や心臓の機能を助ける働きがあるようです。


緑色の葉緑素には光合成をおこない酸素を生み出す機能があります。また、緑色は毛細血管を広げて疲れをとり、ストレスを発散させる色です。人は緑色をみると平安感をおぼえるものです。


また「青」は空や海など自然界で一番目にする色です。宇宙から見た地球も青い星です。青色は、筋肉を弛緩させ、血圧や脈拍、呼吸数を減少させ、鎮静作用があるとされます。


逆に「赤」は、筋肉を緊張させ、血管や自律神経などを刺激し、血圧・脈拍・呼吸数を高める色です。つまり金圭泰が言う血液の循環を助けることになります。


これらの色彩がバランスよく美しく調和しているのが芸術作品としての絵画です。


朴芳永に「青と緑と赤系の色が入った絵はないか」とメールしたところ、下の絵の画像が送られてきました。


■朴芳永「愛」12.2×13.7cm 色紙にアクリルと墨
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家庭をテーマに描くことの多い朴芳永です。ハートの形をした二つのピンクの花は夫婦や親子の愛を意味しています。愛らしくかわいくて思わず微笑んでしまいますね。


笑いもまた免疫力を高めると言います。絵画が健康に果たす役割も「心のゆとりや癒しなど」の精神面からの支えで、それが体の健康にもつながっているのだと思います。


●現代作家たちのコロナ対策支援

また、現代アートの人気作家ダミアン・ハーストや村上隆などが、コロナウィルス禍に対して活動しているというニュースが美術手帖に掲載されました。


ダミアン・ハーストも、同じくInstagramを通じて新作を発表。医療従事者に感謝を捧げる作品として、 《Butterfly Rainbow》を無料ダウンロードできるようにしたほか、今後プリント作品を通じて、寄付を行うことを明らかにしている。


■ダミアン・ハースト「Butterfly Rainbow」
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※Butterfly Rainbowは、蝶の羽を作品に使っています。


ここで強調したいのは、「経済的支援」ではなく、アート自体が持つ具体的な力についてです。


太陽の紫外線がコロナウィルスを死滅させるという最近の研究者の報告があります。


絵画の色彩においては、ウィルスを死滅に至らせるほどの物理的な力はないにしても、体内でのウィルスの活動を弱める効果があるはずです。


既に述べてありますが、簡潔にまとめれば次のような理由からです。


1)美しい色彩の調和によって、まず精神面の安らぎと高揚感を与えて、そこから体によい影響をもたらす


2)カナダのフランコフォニー医師会の研究にあるように、脳内ホルモンの分泌が促され、自己治癒力が向上する


3)緑色が肺機能に作用するように、色彩の持つ刺激が、人間の体の機能を活性化させ治癒につながる



太陽の光をプリズムで分解すると虹の色に配列されます。つまり太陽の白い(透明な)色はたくさんの色を含んでいます。ならば、太陽の光を象徴しているレインボーカラーの絵は、もしかして太陽つながりで何らかの作用があるかもしれません。


そこで、コロナウィルス患者が収容されている病院で、全ての病室に、緑色を基調にして、レインボーカラーが入った装飾を施して臨床実験できたらよいなと本気で思っています。


「虹」や「ハート」という形状は、「希望」や「愛」といったイメージを持ちます。それが見る人の心にポジティブな感情を喚起すことから、病気を克服するにあたって助けにはなると思います。ただ、色彩の刺激の方が形状よりも強いことから、描かれている主題(形状)に虹がみえなくてもいいのです。


もっと言うならば、虹の色にこだわることもなく、その色があろうが無かろうが、調和のとれた美しい絵画は健康によい影響をもたらします。そして副作用がありません。


同じような容態の患者二人が、アートのある病室と白い壁の病室に別々にいたとして、美しい色彩の調和によるアートが飾られた部屋にいる患者の方が、ただ白い壁の部屋にいる患者に比べて回復に向かう時間が短くて済むのではないかと思うのです。

研究の余地はあると思いませんか?





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