日曜美術館にウォルフガング・ライプからのメッセージ

5月31日の日曜美術館「#アートシェア 今こそ、見て欲しいこの一作」で、森美術館館長の片岡真美が紹介した作品。それは現代ドイツを代表するアーティストのウォルフガング・ライプによる「ヘーゼルナッツの花粉」。作品に使った花粉は20年かけて集めたもので、6メートル四方のインスタレーション作品である。

2013年にニューヨーク近代美術館(MOMA)での展覧会の制作風景を紹介していたが、ライプから紙に書いた詩のようなメッセージが番組に寄せられ、それがナレーションで読み上げられた。

■ウォルフガング・ライプ「ヘーゼルナッツの花粉」制作風景1992年(ポンピドゥーセンター)
ヘーゼルナッツの花粉.jpg

私は番組の中で読まれた詩に心が動かされて、録画していたビデオでそれを聞きながら書き起こした。その内容を記す。聞き取りなので区切り方や漢字や仮名は勝手に書かせてもらった。

『花粉を集める』ウォルフガング・ライプ 訳/小野正嗣(小説家・日曜美術館ナビゲーター)

くる日もくる日も 何週間もたんぽぽの草原にすわり
このうえなく集中して はげしく 時間も 我も 身も心も忘れ

信じがたく 思いもよらない 世界の混乱と危機のただなかで
ひどい病にかかり 死にゆく数多くの人々
新しい疫病? 600年前のような疫病が再び起こるなんて とても想像できなかっただろう?
いま この私たちの 生活の中に そばに

それでもなお 危機は大きければ大きいほど
人類に新しい未来をもたらし
どこかほかの場所に向かい ほかの何かを見つける手助けをしてくれた

想像し得たものの彼方に わたしたちは見つける
あたらしい在りようと生き方を

わたしたちがのぞむものと 私たちが人生に望むもの
大切なことと そうでないこと
慎ましさ 謙虚さ
自分自身とほかの人たちに対する
世界に対する
自然に対する
宇宙に対する

まったく違う関係
自分自身と世界への 異なる願い
新しい未来の 新しいビジョン・・・(ビデオ切れる)
ウォルフガング・ライプ.jpg

「花粉こそが花の本質です。花の命はそこから始まります」と語るライプは「生命」を見つめる作品を作り続けてきた。コロナ禍にあって、普段は考えることの無かった「いのち」や「死」を考える人は多いだろう。

アートには生きるためのポジティブな力がある。


本編の後の「アートシーン」で、過去に放映した染織家の志村ふくみの紹介があった。そこで今年95歳になる志村ふくみからも番組へのメッセージがあった。ここに紹介する。

「いまこの厳しい時代、人間がより強く求めるもの。その究極は美しいものだと思います。悲しいこと、今の苦しいことを含めての美しさ。本来人間は、素朴で、そういう美しいものをひたすら求めてきました。知識なんかじゃない。救いになるものは美ですよ。」(志村ふくみ)







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