韓国画家・閔庚甲(ミン・ギョンカプ)「日韓美術の架け橋」

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人はみな、世の中に対してなにかしらの役割があると思う。

意識の自覚にかかわらず、人は徐々に自らの役割に従った行動に向かって進み、たとえそこに犠牲が伴ったとしても究極的にはそれが幸せであると感じられるのだろう。

閔庚甲は韓国の芸術院会員である。

彼は一国の名のある美術人の立場にあって、自国の美術界を見つめる意識は常に国家を超えているようだ。

2003年6月、日本の小泉首相と韓国の盧武鉉大統領による「日韓首脳共同宣言」に基づき、日韓国交正常化40周年を記念し、2005年を日韓友情年2005と定めた。

2005年は、両国でそれを祝うイベントが開催された。日本側の会長が画家の平山郁夫であるのに対して、韓国側の諮問委員の中に芸術家がいなかったことを韓国側が気遣い、画家で芸術院会員の閔庚甲に白羽の矢が当たった。

閔庚甲がそうした場に登用されるのも彼の意識が引き寄せた結果であろう。そしてそれが画家であると同時に彼の役割なのかもしれない。

韓流ファインアート
閔庚甲「ソウル市立美術館個展」

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閔庚甲自らが中心となって企画した日韓(韓日)現代美術展がある。現在は途絶えてしまったが、両国の芸術院会員を中心とした絵画と彫刻をもって、互いの国で隔年交代で6年ほど継続開催された。

閔庚甲は韓国作家の中心作家であるとともに実務においても窓口となり、様々な犠牲も払いながら実質的にこの会を牽引していった。

この美術展は画商や美術館を間に入れずに、参加した画家が自主的に企画したものである。韓国側の会長は美術評論家の李亀烈、作家代表が閔庚甲であった。

日本側は美術評論家の故米倉守が会長として尽力し、日本画家で芸術院会員の松尾敏男が代表として作家をまとめた。

参加作家のそうそうたる顔ぶれを見れば、世に日韓交流の美術展が数多しと言えども、閔庚甲らが企画し実行した日韓(韓日)現代美術展が、国を代表するという意味においては頂点にあったと言っても過言ではない。

主な開催場所として、韓国は世宗文化会館、日本は福岡アジア美術館や高島屋本店美術ギャラリーなど。高島屋での開催には高円宮妃殿下が来場されスピーチを行った。

残念ながらこの交流展が無くなってしまったのは、米倉守の死去に伴うものだった。

下の写真は福岡アジア美術館で2006年に開催したときの写真である。右は松尾敏男
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開催を記念して両国代表作家が揮毫する
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高島屋本店ギャラリーに揃った日韓の作家たち
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高円宮妃殿下に自分の作品を説明する閔庚甲
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この日韓現代美術展は自然消滅したものの、閔庚甲の意識はくじけず、その意識に引き寄せられて今度は日韓芸術院の交流展の話が舞い込みんだ。そして今年2010年10月には上野の日本芸術院で日韓の芸術院会員の美術作品による第一回目の交流展示会を実現させた。

来年は韓国の芸術院ギャラリーで日本の芸術院会員の作品がはじめて展示されることになる。今度は画家たちの企画というよりはもっと公的な交流展となるので、発展し長く継続してゆくことを期待したい。

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12月28日にアトリエを訪ねた。

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写真を見ていただきたい。アトリエの応接室の真ん中にかかっている300号の作品「無為」は最近作である。

2000年代以降閔庚甲の作品に登場するこの白い短冊のような模様は、彼の代表的なモチーフになりつつあるようだ。

日本でも神社でおはらいのときに神主さんが使うあれと同じようなもので、土俗的な神事に使われる白い布(紙?)が原型だが、辟邪招福を願った素朴な祈りの象徴として描かれている。

これは2005年にパリのユネスコで個展をした頃から描いてきたモチーフだが、この最近作はますます滲みが多用されている。

「余白」と「滲み」は中国・韓国・日本の東洋画の専売特許である。

ところが、紙や絹に描き同じ東洋画の範疇となる日本画は、現代においては「余白」も「滲み」もあまり多くは見られない。

モチーフや表現技術の共通性と差異点、そうした比較をしながら見てみると日本と韓国作品の同時展示はけっこうおもしろい。

閔庚甲「ソウル市立美術館個展」


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