「ワクワクするアート(ハーブ&ドロシー鑑賞)」

★コレクション自体がアート★

ついに映画ハーブ&ドロシーを観ました。

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ブログ第一回目に映画も観ずにフォーゲル夫妻のことを紹介しましたが、今回映画を見て改めて学ぶことがありました。そして、この夫妻の生き様に感動しました。

「美術品を見る買う」ということにおける本質がこの映画には描かれています。

登場する人の名前などは記憶していませんでしたが、映画の中で心に残った言葉を記憶から拾ってみます。ただし言葉の表現は正確ではありません。

まず、フォーゲル夫妻のコレクションは4700点あまりが最終的に米国の国立美術館に寄贈され、そのうち2000点あまりがそこで管理され、それ以外の作品は全米50州の美術館に寄贈されるとのことです。映画は夫妻に関わった人々、主にアーティストへのインタビューを中心にハーブ&ドロシーという人間に迫ることで、彼らのコレクションの偉大さを浮き彫りにしてゆきます。


「コレクション自体がアートだ」

これは映画の中で語られていた言葉です。

コレクションは、「自分たちの収入で買えるもの」という事情もからんでいますが「ミニマル」と「コンセプチュアル」というニューヨークを土壌にして生まれた現代美術の二つの断面に絞り込まれています。

また「1LDKのアパートに入る(飾れる)大きさ」という二人の生活水準からくる規定もあったりしますが、なによりも「自分たちの感性に合うもの」という統一的な視点が、コレクション全体を見渡してそれがアートだとまで言わしめる調和を生み出しているのだと思います。

感性とはなにか。それは単純に言ってしまえば、わくわくする実感や湧いてくるよろこびに対するアンテナのことです。

当然、このよろこびを享受するために、ご夫妻は基本的かつ専門的な勉強をし、画廊やアトリエやオークションなどアートがある場所に惜しみなく足を運びました。特に足を運ぶという点においては専門家をはるかに凌駕します。

そうした努力?(努力という言葉は当たっていません。なぜなら彼らのアートに対する行為自体がワクワクするものだからです。)のもとに美術への目を開くことでコレクションに内的な厚みを加えることができました。

夫人のドロシーが「最初はその作品がよくわからないこともあります。しかし(それを買って家で)見ているうちに理解できるようになります」と語っていました。

ドギュメンタリー映画ですが、全編を通してこうした夫妻の言葉には全く飾り気がなく、実に「素直」です。

「素直」は夫妻の目そのものであり、優れた感性を支えるものであります。

★自分の価値観に従う★

「彼は目から見て直接 に感じている。つまり頭を通していない。」

これは夫妻を評したあるアーティストの言葉です。極めて重要な言葉です。

この言葉は美術品を見て楽しむ―わくわくするための究極的なポイントです。

ご主人のハーバート(ハーブ)は「私は昔から他人の価値観に従わなかった」と言います。絵画の見方(1)「主観的鑑賞」

この言葉は彼が徹底的に主観的に生きて来たことを意味します。逆に私たちといえばあまりにも他人の価値観に左右されて生きています。

どんな聖人や偉い人の言葉であったとしても、私の本心がそうだと実感することのみが真理です。

ハーブはその主観的で自らの価値観に従った生き方を当然のごとく美術を見る目にも適用しました。

したがって「専門家が認めた」「アーティストが奨めるもの」は彼らのコレクションとは関係がありません。全てはただ自分の感性に従い自分を信じて行った結果です。

もちろん目が無ければコレクションにはクズしか集まりません。

映画の中であるアーティストが「彼は生まれつき美術を見る目が備わっている」のようなことを語っていました。でもはたしてそうでしょうか。

目、言い換えれば美術を見る感性は育ちます。ご夫妻の目もコレクションと共に成長していったのです。問題は自分の魂に響く作品をいかに受け止められるかです。フォーゲル夫妻は一流のアーティストのように常に作品の前に魂を開いていたのです。

内的な視点に立って自分の魂に共鳴する作品を見出せば、誰でも美術品からよろこびを得て人生を豊かにすることが出来ると私は信じています。今後そうしたことを具体的にこのブログでつたえてゆきたいと思います。

郵便局員と図書館司書という収入の高くないフォーゲル夫妻が、これほどのコレクションを為し得たのは、一言で言えば美術に対する「情熱」ゆえのなにものでもありません。それは同時に人生を生きる情熱でもあります。

映画に登場したアートディーラーが「画商は契約した作家にお金を投じて育てたりお金のかかる仕事だ。フォーゲル夫妻は時にはそうした作家からも直接買うこともあり、それはあまり面白いことではない。」と正直に告白していました。しかし、そう語るアートディーラーでさえ屈服せざるを得ないのがフォーゲル夫妻の情熱です。

その情熱は職場を定年退職し美術館寄贈を成し遂げた現在もまだ衰えることを知りません。

どれほどの情熱であったかは映画を見ていただければと思います。また子宝に恵まれなかった夫妻が、互いを信じて生きてきたその生き様も見るものの心を暖かくします。

監督インタビュー記事

二人の神3/映画「LUCY(ルーシー)」


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