韓国現代アートの巨匠・徐世鈺ソセオク(2)「東洋思想による現代アート」

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東洋画と東洋思想を土台に韓国現代アートを切り開いた徐世鈺へのインタビュー(1)のつづきです。

●作品制作において過去や同時代人の作家から影響を受けて来ましたか

誰かの影響を受けないということはありえません。ただし私がこれまで見て聞いたことに対して自分の考えを確立しなければならないのです。

私は他人が着ている服を着たくはありませんから、自ずと私の体に合う服を着るようになるのです。

最初に絵を学ぶときは対象を置いて描きます。そしてそのあと対象を離れて空間の中に尋ねて描こうとします。対象を越えて無限の空間の中にそれを探し出して描く、これは私が今体験していることです。

そうした精神は昔からありますし、今後もまた永遠にあるものだと思います。

例えば対象としてここにコップがあります。これは実存し触ることも見ることも可能です。しかし無限な空間から見れば無いに等しいものです。その空間にはそのコップも含めて全てのものがあります。私が在ると思っている対象は必ず在るのではなく視点を変えれば無いものなのです。

在るものと無いものは刀で切ることが出来ません。在るものと無いものは互いに円のように回っています。在ると思った瞬間無く、無いと思った瞬間在るのです。

はじまりと終わりが繋がった円のように無限な循環を繰り返します。これはエネルギーを意味します。生命のエネルギー、それが即ち美というものです。

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●先生の言われる空間という概念は精神的な意味でもあるのですか

対象は物質で、空間は精神と言えます。一つは(物質的に)在るもの、一つは無いもの。

物質と精神も永遠に一つの円を描いて回り美しい姿をあらわしています。それが美の本質であり美の本来の姿です。


●それは般若心経の「色即是空・空即是色」と同じ意味合いですか

般若心経の内容にも通じますが、私が言いたいことは私たちが追求する「美」というもののことです。

美とは私の直ぐ前にあります。それをつかもうとすると直ぐ自分の後ろにいます。すなわち美というのは宇宙に存在するエネルギーのようなものです。

美を探し出すということは無限の空間にあるものをつかもうとする行為です。

美というものは永遠の存在ですが、美に対して何か一つを持って語ることはできません。それは姿を変えて存在します。

芸術家はそういうことを知って美を創造しなければなりません。

ですから、画家は美の前にいつも謙遜な姿勢で、喜びに溢れて生きて行く、それが画家の一生です。


●現代の美術は先生の言われる美と関係ないものもあると思いますか

そうです。我々が一生のあいだ道を歩きながら石しか見つけられない人が多いですが、中にはダイヤモンドを見つけ出す人もいます。

●最後に先生の創作の哲学を教えてください

花が咲き、散ります。そこに実ができます。なぜ花は散るのに実ができるのか。それは目に見えない胚芽がその中にあるからです。花は無くなってしまったのではなく在るのです。

空に月があります。東から上って西に沈みます。ところで月が通り過ぎた形跡がみえますか。見えません。それは無いのです。なぜか、月は最初から無いところを動いているからです。何もないところから出て何も無いところに沈みます。ただし在ると無いは永遠に共に存在するのです。

例えば自動車が左右の車輪で動くように、また人間が右足と左足で立つように、在ることと無いこととは実際はそういう関係です。

ここで、西洋においては全てのものを顕微鏡で細かいところまで見ようとします。それで終わりまで見ることができますか。出来ません。人間には永遠に見ることはできません。限界があります。西洋に生まれた微分積分のような考えで宇宙を解決できません。美しいものも解決できません。

全ての「在る」「無い」は人間がそれを一度ただ考えてみただけのことなのです。

仏陀が死ぬことを涅槃といいます。そこにはもう一度はじまるという意味があります。死んだところから始まるのですから永遠に生きているということです。そういう視点でみれば全てが平安に解決します。

また画家は鏡のようでなければなりません。鏡は美しいも醜いも老いも若いも拒否せず全てを映します。しかし鏡には何も残りません。

画家は鏡に映すように愛する目で全てのものを見なければなりません。しかしその見たものを自分の中に残してはいけません。見たものに未練を持ってはいけません。すると画家には新しい仕事がいつもはじまります。

創作とは全てのものを新しく作るということです。創作によって新しいものを見せてあげることができるのです。


(文責/わくわくアート情報「絵画の見方・買い方」ウェブリ・ブログ、運営者RYOTA)
韓流ファインアート
「愛の舞踏」徐世鈺からの物語


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