ドーパミン・ハイジャックと絵画

たまたま目にしたForbes JAPANの記事に「ドーパミン・ハイジャック」という言葉が出ていました。
https://forbesjapan.com/articles/detail/19651

緑字は記事からの引用です。
脳内のドーパミンを分泌させ続けるドーパミンサイクルをベースにしたビジネス」のことで、動画コンテンツなど、広告収入を狙ってユーザーの滞在時間を最大化するため、刺激的で興奮しやすいつくりが主流になっている。

悪意はなくても、それでおカネが回る経済になったため、目移りさせて興奮させることが当たり前の手法として定着している。AIを使うことによってこのビジネスは加速すると言われており、常に脳内がハイジャックされるというわけだ。

また、「孤独感は肥満よりも深刻な脅威になった」と報告するのは、アメリカ心理学会だ。SNSでいつもつながって便利になり、多くのビジネスを生んでいるが、常につながることで逆に孤独に陥りやすくなり、精神のバランスを崩すという。


テレビを見ていると、一部の番組や広告の編集のやり方に視聴者の脳をハイジャックしようとする意図を感じます。(繰り返されるTVコマーシャル自体が基本的に洗脳です)

ポケモンGOなどの人気ゲームへの依存症もドーパミン・ハイジャックの状態ではないでしょうか。

ドーパミンは神経伝達物質で、アドレナリンやノルアドレナリンにつながります。ドーパミンは脳内で分泌され、簡単に言うと快感や意欲などをもたらすものです。

たとえばビジネスにおいて売上げ目標を達成したらボーナスや昇給を得ることがわかっていれば、目標を設定しただけでドーパミンが分泌され、やる気が起こります。

さらに、目標達成して報酬を得たり褒められたりしてよろこびを感じると、ドーパミンはもっと高い目標と報酬への期待を導いてさらなる意欲をかきたてます。

しかし、ドーパミンの分泌でよろこびを求めることに支配されてしまうと弊害が生じます。

SNSでは強烈な刺激や興奮はあまりないでしょうが、SNSにつながり続けることによる弊害の例として思い浮かぶ話があります。以前私の知り合いがフェイスブックにはまったときに言っていたことです。

それは、フェイスブックに写真や文章を載せて「いいね」や称賛のコメントをたくさんもらうことをついつい期待してしまうというのです。

「いいね」という報酬があれば高揚感を感じ、逆に少ないと寂しく思ってしまいます。期待が大きいほどそうした思いは強く返ってくることでしょう。

その報酬を受けた満足と報酬を受けられない寂しさというストレスを繰り返し味わうことによって、上述したForbes記事の指摘のように「孤独に陥りやすくなる」のではないでしょうか。これはSNSが人の精神のバランスを崩させる単純なパターンだと思います。

●ドーパミンの功罪
ドーパミンの働きとして、快感を与え、意欲や向上心をもたらし、記憶力や集中力を高め、ストレスに対する耐性をつける、といったことが上げられます。

ドーパミンが出すぎるとそれを相殺するためにエンドルフィンという快感をもたらす物質が分泌されます。これは脳内麻薬と言われ、いわゆるランナーズ・ハイを起こす分泌物として有名です。

脳内物質は50種類以上あるそうで、その作用を医学の素人の私が詳しく理解しているわけではありまんが、ドーパミンが出すぎることでそれが弊害となることは想像に難くありません。

「ドーパミンには報酬を期待させる作用はあるが、報酬を得たという実感はもたらさない」(2001年、スタンフォード大脳科学ブライアン・スヌットソン博士)

ドーパミンは次々と報酬を期待させて頑張る力を与えつづけるのですが、同時に、期待が満たされないときにはストレスを覚えます。

ドーパミンの分泌による快感は、薬物やギャンブルや買い物などでももたらされます。しかしそれを求めすぎると「依存症」という病気になります。

「依存症」までいかなくても、期待しても満たされない状態が続くとストレスで精神と身体をすり減らしてしまいます。すると、次第にドーパミンが枯渇していくそうです。

ドーパミンが出なくなると、物覚えが悪くなり、物忘れが多くなり、集中力を欠いて無気力になっていきます。

SNSに常につながっていることが最終的に孤独感をもたらしてしまうのはドーパミンが枯渇することからくるのでしょうか。

また、ドーパミンがいかに快感をもたらすものだとしても、脳が支配されてしまうほどドーパミンが出すぎると、その反動で全く逆の状態を呼び込んでしまうようです。


●絵画とドーパミン
絵画や音楽などの芸術鑑賞によってもドーパミンの分泌が促されることは知られています。ゆえに認知症の予防や改善のために絵画を利用することを研究する余地があります。

芸術作品にはデジタルでヴァーチャルなものにないエネルギーとぬくもりがあります。

自分が好きな絵を買って家に飾ると、最初のうちはかなり強いよろこびを感じます。しばらくするとそれが薄れてくるのですが、するとまた別の絵が欲しくなるものです。これもドーパミンの働きでしょう。

コレクターはドーパミンの作用によって10枚も100枚も絵を買い続けているといってもよいでしょう。ハイジャックされるほどの強い刺激ではありませんが、絶え間なく程よいよろこびのグレードアップがされているのです。幸せな人生です。

また、以前に買った絵の中に「新しい発見」をしたとき、その絵から最初に買った時とは別のよろこびがもたらされます。

「新しい発見」とは、例えば「なぜ自分がこの絵に惹かれたのか理由がわかった」「見えていなかった色彩が美しく輝いて見えた」などなど。

『あなたがたは見ているようで何も見ていない』(ジョルジュ・ルオー)

身銭を切って絵を買って飾ることにより、ほどよいドーパミンの分泌が促され、前頭葉が活性化されることは間違いありません。すると見えていなかったものまで見えてきます。そして内面の世界によろこびを見出していきます。

デジタルでヴァーチャルなものに対して、絵画はアナログです。

家の中にアナログの絵画による空間を作って幸福を感じることは、便利なデジタルに支配されつつある現代社会においてこそ、むしろ必要なことなのではないでしょうか。


■ルオー「ピエロ」
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■ルオー「聖顔」
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